第十六回日本モビリティ・マネジメント会議が熊本にて開催されました.西堀特任准教授がオンサイトで参加し,「コミュニティ交通の持続可能性に影響する要因」のポスター発表を行いました.
概要
多くの地域公共交通やボランティア等が運行する「コミュニティ交通」が人々の移動の足を支えている.コミュニティ交通を持続可能にするための取り組みや,持続可能性に影響する要因を明らかにすることで,今後の移動支援問題を検討するための有効な知見を得ることができる.そこで,コミュニティ交通の運営状況や関わる人々の実態を調査し,これらが持続可能であるために期待される仕組みについて明らかにすることを目的とする.
コミュニティ交通の実態を把握するため,国土交通省やNPO法人全国移動ネットが整理した地域公共交通の事例集等から,127事例を抽出しアンケート調査を実施した.調査では,5年後の人材確保可能性や財源確保可能性などを質問し,各事例の持続可能性を把握した.調査の結果67事例から回答を得た.回答内容をさらに深堀するため,回答のあった団体のうち10団体を対象にヒアリング調査を実施し,持続可能性に対する意識等を聞き取った.
人材や財源の確保が困難な団体が4割程度あることや,人材や財源を確保できる団体でも人材確保は交通事業者任せ,財源確保は行政の補助金頼みという団体が存在すること等を確認した.ヒアリングでは,行政以外の団体が自律して運営している場合,移動確保だけでなく地域全体の価値向上を目指していることを確認した.人材や財源確保に影響する要因を分析した結果,運営の評価・改善や,自治体計画の位置づけなど,運営側の「ひと」に関わる要因が関係することを確認した.
コミュニティ交通の持続可能性を担保するためには,人材や財源の確保だけでなく,運営側の「ひと」の意識への対応が急務である.運営の評価・改善や計画づくりだけでなく,一緒に運営に関わる仲間づくりや相談できる人を外部に持つことも重要である.また,持続可能性を担保するためのサービス改善を進める際は,そのための機運醸成の取り組みを行うことも重要である.
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