西堀特任准教授らが著者である2本の論文が都市計画論文集に登載され,「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)にて公開されました.
交通ビッグデータを用いた地方都市中心市街地の人出等に対するCOVID-19感染拡大防止対策の影響分析 ~複数の緊急事態宣言による影響の違いに着目して~,都市計画論文集,56 巻 (2021) 3 号,p. 834-841
西堀 泰英, 嚴 先鏞, 佐々木 邦明, 加藤 秀樹
抄録:
本研究では,モバイル空間(分布統計)による滞留人口と歩行者通行量のデータを用いて,両データを単純集計した結果と季節変動を考慮するために差分を取った値を用いたbstsによる結果を用いて,政府緊急事態宣言1回目,県独自宣言,政府緊急事態宣言2回目による人出等への影響を分析した.その結果,主に以下の成果が得られた.1) 条件が異なる複数の緊急事態宣言の実施および解除による人出等の変化を分析し,多くの施設に休業要請が出された政府緊急事態宣言1回目の介入前後では,他の介入と比較して人出等が大きく減少したことを確認した.2) 政府緊急事態宣言1回目の解除後に歩行者通行量よりも滞留人口の回復が小さいことから,滞在時間が短くなった可能性を示した.これは2種類のデータを比較することでしか把握できない貴重な知見である.3) 時間帯ごとに異なる人々の活動に着目し,それらに対応する各種意識調査データを引用して背景にある要因を検討した結果,交通ビッグデータと意識調査から得られたそれぞれの知見はおおむね一致していることを確認した.
コロナ禍を境とした人口動態の変化と居住地選択の意向変化に関する研究,~愛知県豊田市をケーススタディとして~,都市計画論文集,56 巻 (2021) 3 号,p. 1405-1412
坪井 志朗, 三村 康広, 山崎 基浩, 鈴木 雄, 西堀 泰英
抄録:
新型コロナウイルスの感染防止による新しい生活様式によって、テレワークやオンライン会議が普及し、職場と居住地が必ずしも近くにある必要はなくなる等、我々の暮らしを大きく変えている。地方都市や郊外地域の居住意向が向上し、職場にとらわれない居住選択ができるようになった一方、地方都市移住や田舎暮らしを適切な地域に誘導しなければ、単なる都市のスプロールとなり、都市の広域化が懸念される。本研究では、愛知県豊田市をケーススタディとして、コロナ禍における地方都市の人口動態の変化と居住地選択の意向変化を分析した。その結果、人口動態について転入者数の減少により人口減少へとなっていること、コロナ禍前後で居住地選択の考え方が変わっていることが指摘できた。
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